うみのこ通信

日々の断片

恋する福田平八郎

大阪に住む恋人に会いに行ったついでに、大阪中之島美術館に行った。福田平八郎展が目当てだ。ついでというより去年から目をつけていた。

同時開催していたモネ展は入場するのに大行列。福田平八郎展はメインの漣が展示休止中のせいかかなり空いていた。長いエスカレーターで会場に向かう中、モネ展の大行列を見て「モネが好きなんじゃなくて、美術が好きな自分が好きなんでしょう」と心の中で罵詈雑言を言う。

第1章は手探りの時代という題もあって、ザ日本画、洋画っぽいもの、緻密に描ききったもの、かわいい家鴨ちゃんなど、様々な技巧を実践しているようでよかった。中でも鶴の絵は頭部、目、嘴の塗り込みが細かく、引き込まれた。

白い孔雀と紫陽花を描いた作品は、紫陽花は淡く雑多に、孔雀は様々な白を使って羽が描き込まれ、中心に位置した孔雀が見下ろすように立っていてかっこいい。

そこから水のコーナー。漣は残念ながら複製。漣の下絵のような作品、水の写生帳も特に良い。

梅と鳥の取り合わせも何個か出てきた。日の出を描いた作品は、真オレンジの円が大胆に描かれていて、シンプルだけど、とにかく良かった。富士山で見た朝焼けを記憶の底から引っ張り出した。

梅は、梅の花のコロンとした可愛さをよくわかっている。鳩などの鳥は、羽の色のグラデーションが美しく、鳥の可愛さをよくわかっている。

福田平八郎の絵の前に立つと、心の中の何かが共鳴する。

この絵が好きではなく、この人の絵が好き、と思えたのは初めてかもしれない。大分の巡回も追いかけたい。

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美味しかったお好み焼