祖父が亡くなった。帰宅途中、母からのLINEで知った。
祖父とはここ数年会っていなかった。施設に行き、最近は病院に移ったと聞いていたけど、その話をして1ヶ月もしないくらいで亡くなった。
父も、叔父も、死に目には会えなかったと聞いた。死ぬ瞬間に誰とも会えなかったと知って、悲しかった。
どうしてもっと早くに会いにいかなかったのだろう。ドラマや小説で見るような、ありふれた後悔が浮かんだ。
帰り道、風が強かった。髪も乱れて、寒い風に吹かれて、ぐしゃぐしゃになった。
家に着いて鍵を開けようとしたら、病院から帰ってきた父と会った。「寒いね寒いね」と調子の良いいつもの様子だった。
「おじいちゃん、亡くなった」
ドアを開けて、家の中に入った。父の顔が少し歪んだように見えた。
「聞いたよ」
それしか返せなかった。
母と2人きりになった時、少し泣いた。